組織の多様性ってなんだ? ~経営戦略と採用戦略の連動を考えてみる~

人が足りない。そんなこと言われなくてもわかっている。

少子化で新卒は採れない。
中途は欲しいスペックを有した経験者が採れない。
完全売手市場はまだまだ続くうえに、求職者の目線は給与や休日、福利厚生といった待遇面ばかりに向かっている。そんな昨今、「組織の多様性」という言葉を聞く。

外国人・女性・シニアを採用しようということなの?
いや、それは人材の多様化、ダイバーシティ的採用であって、組織の多様性ではない。

ということで、今回は組織の多様性について考えてみよう。

    1.人材採用のやり方や制度の見直しが必要な理由

    ※人材採用のやり方や制度を変える必要性について「強く感じている」あるいは「やや感じている」と回答した1,587人を集計
    ※「その他」・「あてはまるものはない」は除外した

    多くの企業が「これまでのやり方では必要な人材を確保できない」と認識している。
    これは皆さんの企業でも同様の認識だろう。

    「じゃどうやればいいのさ?」となるわけだが、ここで「経営戦略と採用戦略の連動」が登場する。

    例えば、これまで、「うちの会社は赤い服を着た人を採用しなければ事業が回らない」という状態だったとする。
    そうなると人事は必死に赤い服を着た人を探し回ることになり、当然、その数も限られるから採用は難航する。
    そこで、「何色を着た人でも事業が回る」という経営戦略に切り替えると、途端に対象となる求職者の数は増える。
    これが経営戦略と採用戦略の連動である。

    企業というのは、ついつい自社のカラーに合った、似たような人材を採用しがちであるが、経営戦略を練り直すことで、まったく新しい視点、これまで採用したことが無いような人材を獲得することになる。
    これがやがては企業の事業拡大と成長につながるだろう。

    なんだかいいこと尽くめの話だが、必須の課題がある。
    「多様な人材をまとめるリーダーの存在」である。

    これまでのマネジメントや育て方では対応できない人材をしっかり束ねて組織化し、新しいやり方で育成しながら企業として利益を出していかねばならない。

    2.現在、人事課題だと感じているもの

    ※全項目のうち選択率上位15項目を掲載

    人事の課題は新卒採用と中途採用という相変わらずのものだが、注目して欲しいのは一番左側の「次世代リーダーの育成」だ。

    今、多くの企業は経営戦略と採用戦略の連動に並行してリーダー育成に力を注いでいることが分かる。
    そしてこの次世代リーダーは社内から見つけ出すのがポイントだ。
    採用者もリーダーも新規では、これまでの企業の変革や経緯も分からないし、経営戦略のどこがどう変わったのかも分からない。

    経営戦略の練り直しが始まったら、同時に社内を見渡して、「よし、次世代のリーダーはあいつだ!」作戦も開始する必要がある。

    3.人材採用に関する取り組みの実施率

    ※サンプル数はそれぞれ「全体(1,587)」「見直しができている群(414)」「見直しができていない群(820)」
    ※それぞれの項目について、「ある程度行っている」・「ほぼ確実に行っている」と回答した割合を掲載

    新たな採用戦略を始めるにあたってもう一つ。
    採用はスタートであってゴールではない。
    新規の採用者を迎える際、「入社後の成長イメージ」を考える必要がある。

    「どうやって育てるか?」
    「評価の基準は?」
    「採用者のスキルや経験をどうやって伸ばすか?」
    などなど、具体的に提示すること。
    これを行わないと入社後の成長は無いし、最悪、早期離職につながってしまう。

    経営戦略と採用戦略の連動は簡単ではないが、「人が採れない採れない」と嘆いているだけでは何も始まらない。
    余談だが、人数が足らないから事業ができないのが「人手不足」、スキルや経験が無いから事業ができないのが「人材不足」。このあたりの違いも覚えておこう。

    さあ、経営陣の皆さんは早速、経営戦略会議の日程を決めて会議だ!

    【出展】
    株式会社リクルート
    企業の人材マネジメントに関する調査 2023
    人材採用(中途採用・キャリア採用)編
    writer : 桐原 清武
    厚生労働省認定キャリアコンサルタント。株式会社リクルートでキャリア開発に携わる。専門は人材採用・育成。人事担当者と求職者のカウンセリングは通算10,000回を超える。